カリっと焼き上げる博多とりかわ発祥の店。博多のとりかわはココ抜きでは語れない。
【先代】
先代は、やきとり権兵衛と言って、髭のじいさんが経営してた。その髭のじいさんがアルバイトを雇う際のポリシーは【独立する気のない人はお断り】だった。
その為、ここでバイトして独立した「博多とりかわ」の店があちこちにある。
その頃は、今と違い1階のみでコの字型の古い店だった。一辺に10人づつ座り30人入ると数名は半身の体制で食べなければならなかった。
立ち待ちは必須で最初に座る席は右角の席と決まっていた。エアコンの水がポタリポタリと落ちて来る味わい深い席である。
生ビールの缶を逆さまにした席もあった。勘定する時は大将自ら客に伝票を持って〇〇を何本と読み上げて金額を明示していた。2回に1回は違うことあった・笑
箸を置かない店で、シギ焼きなど一部のメニューを注文しない限り「箸ください」とお願いしてももらえなかった。またキャベツのタレがないのも今と同様だった。
大将はJR九州のでかいポスターに登場したこともあり「博多にとりかわ食べにこんね」と言うような文言と一緒に大将の顔がアップで掲載された。無骨な店であった。
【今!粋恭】
権兵衛の大将は、先代の頃から店にいた、1人の若者に店を譲った。彼のお母さんも先代の頃から店に出てた。
FBSの近くに新店舗を出したり現店舗を改装し2階を新設したりした。洗練されたこ綺麗な店に生まれ変わった。壁に貼ってあった客の名刺は全て無くなった。
また箸は誰でももらえるようにした。キャベツのタレは今でも無い。
先代の頃は鶏皮の脂は7回ほど焼いて落としていたので、それはそれはカリっとしていて、冷えても美味いものだった。
代替わりしてから焼きの回数を5回に落としたようで、脂がとりかわの所々に少し見られるようになり「焼きの回数を落としたやろ」と指摘したら「わかります?」と言われた。
ただし昨今の博多とりかわブームで、あちこちに店ができ、ほとんどの店は、粋恭より、焼きの回数が少なくブヨブヨのとりかわなのは書き添えておく。
また豚バラも美味い。
豚バラは平たい肉では無くブロック状にカットしてあり肉の旨さを感じられる。
博多の焼き鳥屋でも店を間違うと血生臭い豚バラを食べるハメになる。この店では豚バラも合わせて食うべし。
最後に「スープで計算」と無料のコラーゲンとりスープをお願いするのは先代から同じである。
久しぶりにのぞいてみた。20時頃であったにも関わらず4席空いていた。やはりコロナの影響があるらしい。ちゅうかラッキーだ。
カウンターの一番奥に座った。
とりかわは昔に比べだんだんお値段があがり今では150円となった。高級焼鳥屋にいけば安いくらいであるが一般の焼鳥屋にすると結構なお値段となっている。
しかし何回もとり皮を焼いて脂を落とす手間を考えたら安いくらいではなかろうか。
まずはキャベツが出てくる。この店のキャベツは他の店と違って「キャベツタレ」がない。昔「なんで?」と聞いたことがあるが「キャベツ本来の味を楽しんで欲しいから」という答えだった。
キャベツの横に一味をトントンと置いてキャベツにまぶして食べるのが常である。
さて「とりかわ」10本の登場である。美しい!なんど眺めても美しい姿である。脂がほどよく落ちてしまったとり皮は冷えても美味い。
おもむろに一味を振りかける。この何とも言えない焦げた感じもいい。なんだか表面から脂がなくなって色目が変わっている部分も素敵。
ん!大将を10年ぶりくらいに見た。全然変わってないちゅうか、ここんとこ数回寄ったときにはいなかったが他の店にでも出ているのだろうか。
少し痩せたか・・30年前から変わらないなあ。いったいいくつなんだろう。
大将が焼く様子をアニメ風動画にしてみた。おおっ、おもむろにとり皮をたくさん取り出したぞ!
さて豚バラ。ブロック系のこの形が豚バラは一番美味いと思う。
トマト巻きで〆ることにした。実は向かいの家族経営の居酒屋仙八で一杯やってから立ち寄ったのでそろそろお腹いっぱいなのだ。
〆は「スープで計算っ」って言うとこのコラーゲンたっぷりの鶏スープを無料でいただけます。翌日はお肌つるつるさ。よか店だ。
【とり皮の持ち帰りがなくなった】
昨今のとりかわブームで、持ち帰りは無くなった。一時は1人の注文数まで制限されたことがあった。10数年前までは大阪の知り合いに1万円分送って!などとお願いできたものである。
☆とりかわ粋恭
〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院1丁目11−15
≫Googleマップ
TEL:092-731-1766
営業時間:17:00~23:30
定休日:年末年始
公式ホームページ:無いようです。
≫筆者:おのちん
≫来店日:2020.03.16