こんにちは、はてはてマンボウです。今回は和歌山県の串本町を回遊しています。なんでも、有名な日本画が見られるお寺があるんだとか。
紀州串本無量寺……はて、ここかしら。読めないわねえ。
梓「きしゅう・くしもと・むりょうじ、だよ」
マ「あ、連理梓さん。ここの有名な画家とはいったいどなたなんでしょうか」
梓「マンボウちゃんは、円山応挙と長沢芦雪を知っているかい」
マ「はて、聞いたことがあるような、内容な」
梓「それじゃあ今回は、江戸時代を代表する画家の2人と、無量寺について紹介するよ」
円山応挙ってだれですか

円山応挙『雪松図屏風』(三井記念美術館、東京)
梓「円山応挙は、江戸時代中期、18世紀の写生画家としてよく知られている」
マ「まるで実物みたいな松の絵ですねえ」
梓「雪の部分に、立体感があるように見えるのがわかるかな」
マ「たしかに。雪が積もっている感じがよく出ています」

円山応挙『藤花図屏風』(根津美術館、東京)
梓「江戸時代中期は、文化の爛熟期。狩野派・土佐派といった伝統的な画家のほか、さまざまな画家が生まれてきた時代だ。そんななか、清の画家である沈南蘋(しん・なんぴん)の写実的な画風の影響を受けたのが、円山応挙だった」
マ「最新のモードを取り入れたんですねえ」
梓「円山応挙の絵は、単に写生的だったというだけじゃない。この『藤花図屏風』を見ると、藤の花は色彩のかきこみがよくわかるけど、一方で木の枝はさらっと描かれているよね。こういう対比が、写生的な部分をより際立たせているんだ」

円山応挙『七難七福図巻』(相国寺、京都)
梓「円山応挙は、人物の感情の迫真に迫る表現も追究した」
マ「さわやかな写生画だけの人、というわけでもなかったんですねえ」

呉春『白梅図屏風』(阪急文化財団逸翁美術館、大阪)
梓「円山応挙の画風は一大ムーブメントを起こす。呉春もまた、応挙風の絵画を描いた一人。応挙の画系を円山派、呉春の画系を四条派と呼んだことから、2つあわせて円山四条派と由生ばれるようになる」
応挙の弟子、長沢芦雪
梓「そんな円山応挙の弟子の1人にあたるのが、長沢芦雪だ」
マ「はて、長沢芦雪。なんだか聞き覚えが」
梓「奇想の画家の1人として有名だよ。奔放なタッチの絵画を残したことで知られているね」
↑↑「奇想の画家っていったいなに?」「長沢芦雪のことを知りたい!」という方は、こちらの記事をチェックしてくれ~まあんぼう~
無量寺の概要とアクセス
梓「さて、円山応挙と長沢芦雪についてさっと話したところで、いよいよ無量寺に向かおう」

Google mapより
梓「無量寺の最寄り駅である串本駅からは、およそ1キロ。車で向かうときは、かなり細い路地裏を通ることになるから、要注意」
マ「ひゃあ、狭い道ですねえ。行き違いなんてとてもできませんよ、はて」
梓「串本駅には特急電車のくろしおが停まるから、公共交通機関で訪問しやすい。ちなみに新大阪から串本までは特急で3時間30分。まっすぐ向かうのではなく、途中の観光名所に立ち寄りながら、無量寺を目指すのがいいかもね」
マ「南国感の漂う木の向こうで、本堂がお出迎えしてくれています」
梓「応挙芦雪館は、無量寺の境内に位置している日本で一番小さい美術館だそうだ」
マ「お寺の中の美術館って、珍しいですね。宝物館は見たことありますが」

長沢芦雪『虎図襖』(無量寺・串本応挙芦雪館、和歌山)
梓「奇想の画家・芦雪の代表作と言えば、これだ」
マ「かわいい子猫ちゃんみたいな虎ですねえ。なんだか癒されます」
梓「静かな町の落ち着いた寺の中にある小さな美術館、ゆっくり楽しんでみてね」
基本情報のまとめ
〒649-3503 和歌山県東牟婁郡串本町串本833
≫筆者:連理梓
≫来訪日:2011.11.25
参考文献
〇美術検定実行委員会編(2008)『西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)
〇美術検定実行委員会編(2016)『続 西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)
〇山口晃(2012)『ヘンな日本美術史』(祥伝社)
〇山下裕二、高岸輝監修(2014)『日本美術史』(美術出版社)