こんにちは、はてはてマンボウです。今回は栃木の日光を回遊する予定です。海がないなら、さみしいわねえ。
梓「マンボウちゃん、日光は初めてかな」
マ「は、連理梓さん。今回もよろしくお願いしますよう」
マ「高速道路は空いていますねえ。遠くには険しいお山も見えて、ドライブ! って感じがします、きゃほきゃほ」
梓「海がなくてもご機嫌みたいだね」
マ「あ、日光インターチェンジ」
梓「紅葉の時期なんかのオンシーズンは日光ICから東照宮までがとても渋滞するから、注意してね。時間帯を朝夕にずらすのも手かな」
正式名称は東照宮
マ「さあ、日光東照宮に着きました。たっぷり回遊するぞお、おらおら~」
梓「正式名称に『日光』はつかないって、マンボウちゃん、知ってた?」
マ「はて。日光東照宮なんじゃ」
梓「日光以外にある場合は『上野東照宮』という具合に、地名をつけて強調する。だけど、東照宮といえばオリジナルは日光にある。本来は、わざわざ『日光東照宮』という必要はない」
マ「まぼ」
梓「これは『伊勢神宮』も同じだね。『神宮』といえば伊勢の神宮のことを指すから、わざわざ『伊勢』をつける必要はない。神宮が正式名称」
マ「ま、まぼう」
世界遺産・東照宮の建築美!
梓「『日光の社寺』が世界遺産に登録されたのは1999年。東照宮、二荒山神社、輪王寺の二社一寺で構成されている」
梓「東照宮の建築物は、この極彩色で有名だね。安土桃山時代に花開いた鮮やかな色彩美が受け継がれている」
マ「ひゃあ、五重塔ですねえ。いきなりあざやかな建築物がお出迎えです」
梓「小浜藩の酒井忠勝が寄進した。境内の建築物で、徳川家以外が寄進したものはこれだけだよ。ちなみに、この建物の耐震システムは東京スカイツリーにも応用されているんだとか」
マ「はてはて! 400年後の建築技術に応用されるとは……さすが地震大国から生まれた建物ですねえ」
梓「さあ、表門を抜けるよ」
梓「三神庫(さんじんこ)は、東照宮の祭器類を収蔵している。奈良の正倉院を模した校倉造(あぜくらづくり)だ」
梓「さあ、手水舎(てみずしゃ)で身を清めよう」
マ「は、はて。この豪華な建物が、手水舎とは」
梓「手水舎横の鳥居を通り過ぎる」
マ「石段を上ると、同じような建物が左右に2つあります、はて」
梓「右が鐘楼、左が鼓楼」
マ「この回廊の向こうが、有名な陽明門ですね」
梓「ところが、私たちが来たときはまだ工事中だった」
マ「がーん。そんなあ」
梓「2017年3月現在は工事も終わっているから、またの機会に訪れてみて」
梓「さて、唐門(からもん)を抜けると拝殿と本殿だ」
マ「本殿を抜けると、建物を見下ろせるんですねえ」
梓「さあ、このまま林道を奥へ進むと、奥社(おくしゃ)だ」
梓「奥社には徳川家康の墓所がある」
マ「あんなに華やいだ建物の数々を抜けた先は、とても静かで落ち着いた場所なんですねえ」
神になった家康公! 東照大権現と徳川家康
マ「そういえば、ところどころ東照大権現と書いてあるのを見たような」
梓「東照大権現(とうしょうだいごんげん)は、徳川家康の神号だ」
マ「はて、神号」
梓「死後、神になったってこと」
マ「はて! そんな簡単に」
梓「もともと日本では古来から、死後、人間を神としてまつる風習があった。菅原道真だって、天満宮で祀られているだろう」
無数に彫られた霊獣たち……装飾物のあれこれ
梓「さて、ここまでに通り過ぎた装飾物の数々を振り返ってみよう」
マ「仁王門は、仁王像と狛犬が一緒にいるよくばりセットねえ」
梓「いいところに目をつけたね、マンボウちゃん」
マ「まぼ。 なんだかわからないけど、褒められた。うれしい」
梓「獅子・狛犬と仁王像はそれぞれ境内の入口を守っているんだけど、獅子・狛犬は神社、仁王像はお寺の入口にそれぞれいるだろう」
マ「そういえば。それがどうして一緒にいるんですか」
梓「これは神仏習合という考えだ」
マ「じ、じん……」
梓「しんぶつしゅうごう。江戸時代までは、神社とお寺はいまみたいに分かれてはおらず、一体として考えられることが多かった。神社であるはずの東照宮の入口に五重塔があるけれど、本来はこれも仏教世界の建物だよね」
梓「表門をはじめとして、東照宮にはさまざまな動物が見られるのが楽しい。これは唐獅子。牡丹の上に乗っているね」
マ「ぱおーん。こっちはゾウさんです。でも、なんか雰囲気が本物のゾウと違うような」
梓「江戸時代初期の人間は、本物のゾウを見たことがなかったからね。東照宮のゾウはどれも空想のゾウだ」
マ「たしかに、三神庫のゾウも、ウシみたいだったりネコみたいだったりしますねえ」
マ「こっちは龍でしょうか」
梓「これは、獏(ばく)。こっちも霊獣だね」
マ「ああ、夢を食べる、獏ですね」
梓「ほかにも『鉄や銅を食べる』とも言われている。戦乱があると食べものである金属がなくなるから飢えてしまう、という言い伝えから武器のない時代にしか生きられない、平和の象徴でもある」
マ「うわあ、龍のなりそこないみたいな珍獣が」
梓「想像上の生きものの見本市だから、細部の彫像を1つひとつ注意して見るのも楽しいね」
梓「唐門の白い柱には龍が彫り込んである」
マ「派手な装飾のなかに、突然白い柱が出てくると、これはこれで目立ちますね」
マ「あ、あれは!」
マ「眠り猫ですよ。ああ、癒されますねえ」
梓「眠り猫の周りでは、スズメが鳴いている。天敵の猫は眠りこみ、スズメも安心して飛びまわれる様は平和な世を表している」
マ「あ、マンボウにぴったりの言葉が。そうそう、のんびりするのが最高よねえ。マンボウ、のんびり生きている限り、毎日が楽しい~」
基本情報のまとめ
☆日光東照宮 ≫公式HP
〒321-1431 栃木県日光市山内2301
≫筆者:連理梓
≫来訪日:2016.01.15
※「はてはてマンボウのブログ」は移転しました。
はてはてマンボウの 教養回遊記 (hatehatemanbou.com)
参考文献
〇『Pen+【完全保存版】ニッポンの世界遺産。』(CCCメディアハウス)(2017-12-29)
〇須田慎太郎(2015)『日光東照宮400年式年大祭記念 日光東照宮』(集英社インターナショナル)