こんにちは、はてはてマンボウです。今回は暖かい和歌山の海を回遊しています。
のんびりとした紀南の海ねえ。
あら、遠くにお船も見えます。こんなところなら、いつまでも、ぼおっとできるわねえ。
梓「和歌山県の串本町には、トルコ記念館があるのを、マンボウちゃんは知っているかい」
マ「あ、連理梓さん。はて、トルコ記念館。ここは和歌山県ですよ、トルコじゃありません」
マ「まぼ。ほんとうにありました。和歌山にどうしてトルコが。気になるわねえ」
トルコ記念館へのアクセス
梓「トルコ記念館には、本州最南端の串本町から、陸伝いに紀伊大島を東の端まで走ってみると辿りつく。和歌山市からなら、紀伊半島の海沿いに沿った国道42号を車で2時間のドライブだ。最寄りのJR紀勢本線の串本駅からは、熊野交通バスで『樫野埼灯台口』で下車して、徒歩3分で到着。ただし、新大阪から串本までは特急で3時間30分」
マ「随分と遠いんですねえ」
梓「和歌山から串本へ行くなら、和歌山から大阪へ出るほうが早いぐらいだからね。トルコ記念館をはじめ、グッドな観光地が並ぶ串本町には、本州最南端の地として知られる潮岬や、長沢芦雪の絵画で知られる無量寺があるから、車で一日回ってみるのも楽しいよ」
↑↑「潮岬や無量寺のことをもっと知りたい!」という方はこちらの記事もチェックしてみてくれ~まあんぼう~~
トルコ記念館までの道中は、唐突なトルコの世界
梓「さて、駐車場に車を停めたところで、トルコ記念館へと行こうか」
マ「そうしましょう、そうしましょう……まぼ?」
マ「はて、これはもしや」
マ「あ、トルコアイスを売っています!」
梓「コンビニの市販のアイスじゃなくて、ここならほんもののトルコアイスが食べられるよ」
マ「はて、トルコの民芸品」
マ「はて! エキゾチックな装飾品が並んでいます!」
梓「まるでほんとうに、トルコの地まで来たみたいだね」
日本とトルコの友好の走りとなった「エルトゥールル号 遭難事件」
梓「マンボウちゃんは、『エルトゥールル号 遭難事件』を知っているかな」
マ「えるとぅるるる……はて、舌を噛みそうなお名前」
梓「かつてトルコには、中東から北アフリカにかけて覇を唱えたオスマン帝国という一大国家があった。オスマン帝国の建国者・オスマン一世の父親がエルトゥールルだ」
マ「じゃあ、そのエルトゥールルさんを記念した船、ということですね」
梓「1890年、このエルトゥールル号は親善訪日使節として、日本へやってきていた」
梓「さて、壁画をよく見てごらん」
マ「これはもしや、船が遭難している様子なんじゃ」
梓「そのとおり。訪日後、台風シーズンに横浜港から出港したエルトゥールル号は、強風にあおられ紀伊大島の樫野埼(かしのざき)の岩礁に激突、座礁の上、沈没した。600名以上が海へ投げ出されてしまったんだ」
マ「悲惨な事件だったんですね」
梓「樫野崎灯台に流れ着いた生存者は約10名。彼らを通じてオスマントルコの船の座礁を知った現地の住民たちは、総出で救助に当たった。台風のため、住民たち自身の食料もわずかだった中で、非常用のニワトリまで差し出すなどして、必死の介抱にあたった」
梓「そういうわけで、この串本町には、エルトゥールル号の遭難にあたっての慰霊碑がたてられている。串本町はトルコのヤカケント町、メルシン市は姉妹都市となっていて、トルコ記念館では、串本町とトルコ大使館の共催による慰霊祭が5年ごとに行われている」
梓「錨の左右に海軍時代からの軍旗である旭日旗と、トルコの国旗が描かれているね。三日月と星はイスラム教の象徴でもある」
梓「慰霊碑のほか、資料館の中では海底から引き揚げられたエルトゥールル号の装備品や、一連の顛末にかかる関連資料も展示されている」
マ「はて、この立派な騎馬像はいったいなんでしょうか」
梓「近代トルコ建国の父であるムスタファ=ケマル。第一次世界大戦後、オスマン帝国が解体されトルコ共和国へと生まれ変わったときの、初代大統領だ。敬称である『パシャ』をあわせて『ケマル=パシャ』、また『トルコ人の父』を表す『アタチュルク』の姓を贈られたことから『ケマル=アタチュルク』とも呼ばれるね」
梓「第一次世界大戦で敗北し主権を失いかけていたトルコに革命を起こし、大戦後の周辺国との戦争で勝利をもたらした結果、トルコの主権を守り抜いた初代大統領を、この遠い和歌山の地でひっそりと称えているんだね」
樫野崎灯台の静かな海
梓「遭難したエルトゥールル号の船員が辿りついた樫野崎灯台は、トルコ記念館のすぐ近くにあるんだ」
マ「行幸(ぎょうこう)記念碑って、なんですか」
梓「天皇陛下が外出されることを、行幸という。これは。昭和天皇の行幸の記念碑だ。ちなみに、これを聞いたケマル=アタチュルクが新しい慰霊碑の建立を決定したことから、現在の立派な慰霊碑ができたんだよ」
梓「樫野埼灯台は『日本の灯台の父』と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンが日本で最初に設計した、美しい白亜の灯台だ」
マ「いまから150年前にできた灯台なんですねえ」
マ「和歌山の美しい海が再び現れました。この穏やかな海で、かつて遭難事故が起きたなんて、信じられないですね」
梓「トルコの人たちを一人でも多く救おうと尽力し、現在の日本とトルコの友好の懸け橋になった先人たちの誠実な思いが偲ばれる、青い青い海だ」
基本情報のまとめ
トルコ記念館
≫公式HP 〇トルコ記念館 南紀串本観光ガイド
〒649-3631 和歌山県東牟婁郡串本町樫野1025−26
樫野崎(かしのざき)灯台
≫公式HP 〇樫野埼灯台 南紀串本観光ガイド
〒649-3631 和歌山県東牟婁郡串本町樫野
≫筆者:連理梓
≫来訪日:2014.07.27