こんにちは、はてはてマンボウです。
梓「今回は、神社仏閣に見られる動物たちを一緒に見ていこう」
マ「あ、連理梓さん。動物ですか。そういえば、神社仏閣を回るといろんな動物を見ることがありますね」
梓「それぞれの動物が日本の文化でどのように位置づけられているのかを知ると、神社仏閣を訪れるのが楽しくなるよ」
マ「マンボウは出るんですか」
梓「マンボウは……出ない!」
マ「がーん」
兎
マ「あら、かわいい」
梓「出雲大社は大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)を祀った神社。『因幡の白兎』の主人公が大国主大神であることから、兎のオブジェが境内に飾ってあるよ」
梓「ちなみに、その白兎そのものを祀った神社が、因幡、つまり鳥取にある白兎神社だ」
狐
マ「キツネといえば、お稲荷さんですよねえ」
梓「キツネそのものは、稲荷大明神の神使、つまり神の使いだ」
マ「神様そのものではないんですねえ」
梓「稲荷大明神は五穀豊穣の神様だから、全国でも篤く信仰されている。京都の伏見稲荷大社が総本社だね」
鹿
梓「奈良公園や宮島の鹿は、神使として大切にされているね。人懐っこいけれど、とりあえず野生動物という位置づけだ」
マ「どう見ても、観光客へ完全に依存してますけどねえ」
梓「宮島の鹿は、奈良の鹿を平清盛が連れてきたとも言われている」
梓「鹿は、武御雷神(タケミカヅチノカミ)の神使だ。大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)へ国譲りを迫ったエピソードから、勝負事の神様としても有名だね」
マ「そういえば、出雲大社の話のときに出てきましたね」
梓「奈良の春日大社は、鹿島神宮から建御雷神を勧請(かんじょう)したものだ」
マ「勧請、はて」
梓「本拠地から別のところへ、神様をお招きしてお祭りすることを指す。さて、春日大社は藤原氏の氏神だったから、大変大きな力を持っていた」
マ「奈良公園のシカが大切にされてきたのも、そんな背景が理由なのかもしれませんねえ」
牛
梓「大宰府、北野に防府天満宮を加えた3つが三大天満宮と言われている。そんな天満宮に欠かせないのがウシだ」
マ「ウシはどういう役目があるんですか」
梓「天満宮に祀られているのは天神様、つまり菅原道真だ。菅原道真の生まれは丑年。加えて、道真の遺体を引いていた牛車がとどまったところに亡骸を埋葬した、といったエピソードがあることからウシは天神様の神使とされている」
馬
梓「神社ではもともと、祈願の祭にウマを奉納していた。これを生きたまま捧げていたのを、板絵として捧げるようにしたのが絵馬の始まりだ」
マ「毎回、生きたウマを捧げるのも大変でしょうしねえ、まぼまぼ」
八咫烏
梓「ヤタガラスは、『古事記』において、神武天皇が熊野から大和へと東征に向かっているとき、道案内として天照大神から遣わされた神使だ」
マ「カラスがそんな重要な役割を果たしていたとは」
梓「サッカー日本代表のエンブレムとしても採用されているのも、このエピソードにあやかったものだ。日本代表を正しい未来へ導いてほしいという願いが込められている」
鳩
梓「海外では、オリーブをくわえた平和の象徴として描かれるハトも、日本では戦いの神である八幡神の神使とされている」
マ「そ、そりゃ意外です。平和が一番ですよ、まあんぼう」
鶏
梓「石上神宮や伊勢神宮では、ニワトリが放し飼いされているね」
マ「境内でたくさんのニワトリが、けこけこ鳴いているのを初めて見たときは衝撃でした」
梓「ニワトリは長鳴鳥として、古事記にも出てくる」
マ「長鳴というのは、朝を告げる、コケコッコーのことですか」
梓「そのとおり。ニワトリが鳴くと、太陽が昇るよね。天照大神が天岩戸にこもってしまったとき、太陽神である天照大神をおびき出そうと鳴いていたんだ」
梟
梓「射楯兵主(いたてひょうず)神社には”撫でみみずく”がいる。射楯大神(イタテノオオカミ)は林業の神だから、森の住人であるフクロウがその神使とされた」
鯰
マ「ナマズといえば、地震ですよねえ」
梓「かつては、オオナマズが暴れるから地震が起きるものと思われていた。これを押さえこんでいるのが要石」
象
梓「慈悲の菩薩である普賢菩薩は、大きな慈悲を表す白象に乗って現れると言われている」
マ「それじゃあ、昔の日本人は、ゾウのことを知っていたんですね」
梓「概念としてはね」
マ「はて」
梓「実際に見たことはなかったから、どこか違うでしょ」
マ「なんだかユーモラスで、親近感があるわねえ。ぱおーん」
≫筆者:連理梓
※「はてはてマンボウのブログ」は移転しました。
はてはてマンボウの 教養回遊記 (hatehatemanbou.com)
《参考文献》
〇戸部民夫(2013)『神様になった動物たち』(だいわ社)