《解説》5分でわかる「奇想の画家① 桃山~江戸時代初期」

こんにちは、はてはてマンボウです。今回はなんでもヘンな絵ばっかり描いている日本美術の画家についてのお話だと聞いています。

梓「ヘンな絵、はヘンな絵だけどね。テーマは『奇想の画家』だ」

マ「あ、連理梓さん。マンボウでもわかるように、今回もよろしくお願いしますよ」

「奇想の画家」ってなんですか?

梓「奇想の画家というのは、簡単に言うと、江戸時代におけるアウトサイダー・アーティストのことだ」

マ「アウトサイダー・アーティスト?」

梓「本流から外れた芸術家ってことだよ」

狩野永徳『唐獅子図屏風』(三の丸尚蔵館、東京)

梓「江戸時代には、室町時代や桃山時代から続く『狩野派』『土佐派』と言われる伝統的な画家たちがいた」

マ「この唐獅子は歴史の教科書にもよく載ってますよねえ」

円山応挙『孔雀牡丹図』(相国寺、京都)

梓「加えて、江戸時代には琳派、円山派などといわれる新興の流派もいた」

マ「円山応挙(まるやまおうきょ)の孔雀は、なんだか日本の昔の絵画のイメージと違って、写実的ですね」

梓「円山応挙は西洋画の勉強をしていたみたいだからね。さて、こんな具合にいくつかの流派があったわけなんだけど、そこにジャンル分けできない画家がいるんじゃないというのが指摘される。それが奇想の画家」

伊藤若冲『旭日鳳凰図(きょくじつほうおうず)』(三の丸尚蔵館、東京)

梓「1969年に出された辻惟雄の『奇想の系譜』で、アバンギャルドな画家たちが取りあげられた。岩佐又兵衛(いわさまたべえ)、狩野山雪(かのうさんせつ)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、曽我蕭白(そがしょうはく)、長澤芦雪(ながさわろせつ)、歌川国芳(うたがわくによし)」

マ「難しい名前がいっぱいです、はてはて。でも、伊藤若冲なんて、いまじゃすっかり有名ですよね。固い鱗みたいな羽ですけど、尾羽のハートがキュートです」

梓「最近は、これに白隠、狩野一信、河鍋暁斎、月岡芳年なんかを加えることもある。というわけで、今回はこの奇妙な日本画家たちを紹介していこう」

17世紀:桃山時代から江戸時代へ

岩佐又兵衛:まるでコミックの世界!

梓「岩佐又兵衛(いわさまたべえ)は、織田信長配下だった戦国武将・荒木村重(あらきむらしげ)の子ども」

マ「へえ、武将の子どもなのに画家へなったと」

梓「荒木村重って、織田信長に反乱を起こした人だからね。一族郎党ひどい目に遭っている。そんな中、絵画で身を立てていったわけだ」

マ「1人目から、なかなかディープな境遇の人が出てきましたよ、こりゃ」

岩佐又兵衛『山中常盤物語絵巻(やまなかときわ ものがたりえまき)』(MOA美術館、静岡)

梓「岩佐又兵衛の絵は、登場人物に個性がある。というか、『岩佐又兵衛のキャラクター』になる。みんな下膨れがあってね」

マ「マンガ家みたいですね。あだち充先生みたいな」

梓「一目で悪党とわかる個性的な造形だよね」

狩野山雪:正統派の中で放つ静かで激しい個性

梓「狩野派の人間はもともと関西で活躍していたけれど、徳川の治世になると江戸へごっそり連れていかれる」

マ「ありゃま、関西はどうなっちゃうんですか」

梓「最初に出てきた狩野永徳の弟子・狩野山楽(かのうさんらく)を祖とする京狩野が残った」

狩野山雪『梅花遊禽図襖(ばいかゆうきんずふすま)』(天球院、京都)

梓「その京狩野の2代目当主となったのが狩野山雪(かのうさんせつ)」

マ「あれ、アウトサイダーどころかバリバリの本流じゃないですか」

梓「この乱れるような梅の枝のうねりを見てほしい。動きは激しいけど、屏風の中にきちんと納まっている感じがあるよね」

マ「この乱れるラインの使い手としての立ち位置が、奇想の画家というわけですか」

 

「奇想の画家」 ページ内リンク先

↓↓ 奇想の画家の続きはこっちをチェックしてくれ~まあんぼう~

・《解説》若冲、蕭白、芦雪……奇想のメンバー勢ぞろい!╿「奇想の画家② 江戸時代」
・《解説》国芳、暁斎、芳年の色彩とその発想にシビれろ!╿5分でわかる「奇想の画家③」

 

≫筆者:連理梓

参考文献
〇辻惟雄(1970)『奇想の系譜』(美術出版社)
〇美術検定実行委員会編(2008)『西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)
〇山口晃(2012)『ヘンな日本美術史』(祥伝社)
〇山下裕二監修(2019)『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』(日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション)

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