《解説》激しさと静けさがまじりあう╿絵画を語るとき我々の語ること④バロック

こんにちは、はてはてマンボウです。前回は、ルネサンスの西洋絵画の世界について教えてもらいました。今回は一つ時代が進んだバロックについて教えてもらえるみたいですよ~。

《解説》ギリシャ・ローマの復興╿絵画を語るとき我々の語ること③ルネサンス
↑「ルネサンスをもっと知りたい!」という方は、こちらの記事もチェックしてくれ~。まあんぼう~

梓「さあ、ルネサンスの1つ先、バロックの世界にやってきたね」

マ「あ、連理梓さん。バロックって聞いたことはありますけど、よくわかっていないんです」

梓「宗教改革

マ「まぼ? 宗教改革がどうして美術に関係するんですか」

梓「これまでだって、キリスト教は美術に対して影響を与えてきただろう」

マ「あ、たしかに」

梓「そのキリスト教が変化するとき、美術の様式もまた変化するというわけだ。

さて、バロックはざっと以下の2つの要素に分けて説明できる」

①カトリック勢力

②プロテスタント勢力

梓「さて、今回も大塚国際館の絵画を使って解説するよ」

「バロック」ってそもそもなに?

梓「さて、17世紀のバロック美術へとやってきた」

マ「それで生まれたのがバロックですか。ちなみに、バロックってどういう意味なんですか」

梓「いびつな真珠

マ「はあ、いびつ」

梓「もともとは、18世紀になってから1世紀前の絵画を振り返ったときに、ネガティヴな意味合いで使われていた。ルネサンス時代から続いていた古典を追い求めるスタンスだったはずが、いつのまにか理想美から逸脱した過剰な表現を追い求めるようになっていたのを『いびつ』と皮肉ったわけだ」

マ「どうしてまた、過剰な表現になったんですか」

梓「それは宗教改革に理由がある」

マ「宗教改革ってなんですか」

梓「リフォーメーション。簡単に言うと『堕落しきった教会とは縁を切って、聖書の教えに立ち返ろう』という運動。ドイツ地域で始まって、新しい宗派がヨーロッパ全土に広まった」

マ「その新しい宗派というのが、プロテスタントですか」

梓「プロテストには抗議するという意味がある。さて、大雑把にくくると、ドイツ、オランダ、イングランドあたりにプロテスタントは多い。一方で王侯貴族のような既存の権威が強かったイタリア、スペイン、オーストリア、フランスみたいな地域はカトリックが多い」

マ「で、その宗教改革が、絵画へどのような影響を与えるんですか」

梓「宗教改革でプロテスタントへと信者が流れていく状況に、カトリック側も危機感を覚える。そこで、対抗宗教改革が始まる。カウンター・リフォーメーションというわけだ。既存の教えや絵画を、より誇張していく」

マ「持ち味を生かしたんですね」

梓「たとえば、プロテスタントは聖書の教えに立ち返るから、基本的にはイエスのみを信仰する。一方カトリックでは、聖母マリアをはじめとした聖人崇拝が根強い。なので、さまざまな主題をモチーフにした絵画が描かれる」

『いびつな真珠』はドラマチック!

梓「これはカラヴァッジョの『キリストの埋葬』。明暗を見事に使いわけた、劇的なシーンを描くのがカラヴァッジョの特徴。まるで、絵画を見ている我々自身が、その聖書のシーンを目撃しているかのような気持ちになる。大胆なタッチや構図からカラヴァッジョは『カラヴァッジェスキ』と呼ばれる、たくさんのフォロワーを生んだ」

マ「マニエリスムとはまた違った方向で、より表現が誇張されたんですねえ」

梓「バロックではスペイン絵画が黄金時代を迎える。代表的するのはスペイン宮廷画家のベラスケス」

梓「南ネーデルラントではカトリック国のスペインの影響が強かった。フランドル絵画の巨人、ルーベンスが黄金期を迎える」

マ「南ネーデルラント? はて」

梓「オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス三国のあたりは、もともとネーデルラント地方と呼ばれていた。16世紀にはスペインの支配下にあったが、16世紀末に北部が独立して、オランダ共和国となった。一方の南部、つまり南ネーデルラントはスペインの支配下にあり、その影響を受け続けたということ」

オランダでは静かなバロック

梓「さて、ではそのオランダではどのような絵画となったのか。オランダはカトリックとプロテスタント、どっちの勢力だったかな」

マ「カ……プロテスタントです」

梓「そのとおり。カトリックとは、もちろん絵画の特色も異なる。プロテスタント世界では、聖書の教えに立ち返る原理主義を理想とした。キリスト教はもともと偶像崇拝を禁じているので、歴史画はいまいち流行らない」

マ「キリスト教って、偶像崇拝を禁止しているんですねえ。イスラム教だけかと思っていました」

梓「歴史画にとってかわるのが、風景画、風俗画、静物画。なので、バロックと同時代ながらも、抑制のきいた穏やかな絵画が多い。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は縦横50センチに満たない小さな作品で、躍動感を与えるような作品ではないが、そのシンプルな構図の静けさから、見る者は目を離せなくなる不思議な絵画だ」

マ「カラヴァッジョの激しい感じとはまたぜんぜん違った味わいですねえ」

↑↑「フェルメールのことをもっと知りたい!」という方はこちらをチェックしてくれ~まあんぼう~

 

梓「同時代のオランダにはほかにも巨匠レンブラントがいる。彼もまた、静かな肖像画を多数手がけた画家だね」

マ「でも、この有名な『夜景』は劇的じゃないですか」

梓「調子に乗って劇的に描きすぎてクレームがきている」

マ「まぼまぼ」

この記事のまとめ

梓「今回は次の3つのことを覚えておくといい」

①バロックは、対抗宗教改革に後押しされた美術。

②劇的な明暗表現でドラマチックに絵画が描かれた。

③一方、プロテスタント世界では穏やかな絵画も見られた。

マ「それならマンボウでも覚えられます、はってはて♪」

 

《ページ内リンク》
☆大塚国際美術館 概説「丸1日楽しめる世界の絵画╿徳島県 鳴門市の大塚国際美術館」

☆美術史 解説
・古代
・中世
・ルネサンス
・バロック
・ロココ
・新古典主義とロマン主義
・写実主義
・印象派
・象徴主義

≫筆者:連理梓

※「はてはてマンボウのブログ」は移転しました。

はてはてマンボウの 教養回遊記 (hatehatemanbou.com)

参考文献
〇大塚国際美術館・NHK文化センター・有光出版株式会社(1998)『西洋絵画300選』(有光出版)
〇城一夫(2012)『常識として知っておきたい「美」の概念60』(パイ インターナショナル)
〇早坂優子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
〇早坂優子(1996)『巨匠に教わる絵画の見かた』(視覚デザイン研究所)

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