《解説》光を求めてタッチも変わる╿絵画を語るとき我々の語ること⑧印象派

こんにちは、はてはてマンボウです。前回までは、写実主義の2つの西洋絵画の世界について教えてもらいました。今回はいよいよ印象派について教えてもらえるみたい。

《解説》ありふれた日常をそのままに╿絵画を語るとき我々の語ること⑦写実主義
↑「写実主義ってなに?」「自然主義とは違うの?」という方は、こちらの記事もチェックしてくれ~。まあんぼう~

梓「さて、今回はみんな大好き印象派だ」

マ「あ、連理梓さん。印象派展に行くといつも、あふれかえるマダムたちが食い入るように絵画に迫っているイメージが」

梓「でもせっかくなら離れて見よう!」

マ「はて、突然のマナー啓発」

梓「違う違う。印象派は光を表す作品で、特別な技法を使っているから、離れて見ないと意味がない」

マ「離れて見ようだなんて、なんだかテレビアニメの注意書きみたいねえ。しかし、光を表すとは、はて。なんとなくぼやっとした優雅な絵が印象派なんじゃ」

梓「印象派が使った技法を理解すれば、距離が大事なのもわかるはず。さて、今回も大塚国際美術館の絵画を中心に解説していくよ」

『印象派』ってどういう意味?

梓「印象派の名前の由来となったのがモネの『印象 日の出』」

マ「印象派の人たちも、例によって最初は叩かれたと聞いたことがあります」

梓「そのとおり。写実主義で出てきた『草上の昼食』のマネをリーダーと仰ぎ、新しい主題、新しい技法を求めた」

マ「世の中、新しいものはいつも反発を受けるものなんですねえ」

秘技・原色の筆触分割!

梓「さて、モネの発明したのが、筆触分割という技法」

マ「はて、かっこいい名前ねえ」

梓「マネのときに話したように、これまでの西洋絵画は、一続きの滑らかな絵を目指していた」

マ「一続きというよりは、ばらばらという感じですねえ」

マ「はてはて、なぜ急にアップを。こうなると、何が描いてあるかわからないです」

梓「それは、印象派が遠くから見ることを前提に絵を描いたからだ。印象派は原色の色を並べて描いていた。それを遠くから眺めると……」

梓「見ている人間の視覚の方で色が溶けあう『視覚混合』という効果が生まれる。パレットの中ではなく、人間の頭の中で色を混ぜたんだ」

マ「は、はてはて! 印象派にそんなすごい理屈があったとは。でも、その効果を生み出そうとしたのはなんのために?」

梓「印象派が表現したかったのは、外の景色の中の一瞬の光の揺らぎだ。きれめなく連続する要綱を表すために、このような描き方をした」

マ「なるほどお。印象派ってなんとなく明るい色彩の絵が多いなあと思っていましたが、そういうわけがあったんですねえ」

人物と印象派……ルノワール、ドガ、そしてやっぱりモネ

梓「印象派の人物がといえば、ルノワールだ」

マ「かわいい女の子や女性をいっぱい描いている人ですよね。明るい色がまた鮮やかねえ」

マ「印象派って、輪郭があいまいの絵が多いですよねえ」

梓「光と色彩を意識しているからね。滑らかさも輪郭もない世界が広がっている」

梓「ドガと言えば、バレエ。バレエと言えばドガ

マ「モネの絵に比べて、ちょっとくらい感じがしますねえ」

梓「いいところに気づいたね」

梓「バレエは屋内競技。だから、この明かりは屋内証明だ。恣意的に照らされる明かりと踊り子たちの一瞬を切り取っている」

マ「あ、のんびりあくびしてますねえ」

梓「印象派は光を浴びる自然を求めたんだけど、ドガは異端だね。都会の様子をしばしば描いている

梓「そしてどことなく、絵画のテーマ性に『影』があるというのも、大きな特徴だ」

梓「睡蓮の連作や風景画で有名なモネだが、日傘と女性のセットをテーマに何度も絵を描いている」

日本趣味を愛した印象派╿絵画の中のジャポニズム

梓「さて、再びモネの人物画。夭逝したカミーユ夫人を描いた一枚。その名もズバリ『ラ・ジャポネーズ』」

マ「鮮やかな赤の着物ですねえ。背景のうちわにも浮世絵がいっぱいです」

梓「腰のあたりだけをアップにすると、19世紀のフランスで描かれた絵だとは信じられないよね」

マ「うわあ、美人な奥さんと着物に目をとられて、こんなに大きな武士の絵に気づきませんでした、はてはて」

梓「既存の枠組みを飛びだした潮流の印象派に、日本趣味はどんどん取り入られた。今度はルノワール」

マ「またまたうちわが出てきましたねえ」

マ「うわあ、提灯まで出てきました、はてはて」

梓「ジョン・シンガー・サージェントの『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』だ。その雰囲気とタイトルから、私にも忘れられない絵画の1つだ」

この記事のまとめ

梓「今回は次の3つのことを覚えておくといい」

①光の揺らぎを表そうとしたのが印象派

②印象派の絵は遠くから眺めるのが𠮷!

③日本への興味が絵画にも表された

 

《ページ内リンク》
☆大塚国際美術館 概説「丸1日楽しめる世界の絵画╿徳島県 鳴門市の大塚国際美術館」

☆美術史 解説
・古代
・中世
・ルネサンス
・バロック
・ロココ
・新古典主義とロマン主義
・写実主義
・印象派
・象徴主義

≫筆者:連理梓

参考文献
〇大塚国際美術館・NHK文化センター・有光出版株式会社(1998)『西洋絵画300選』(有光出版)
〇城一夫(2012)『常識として知っておきたい「美」の概念60』(パイ インターナショナル)
〇早坂優子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
〇山田五郎・こやま淳子(2015)『カラー版 ヘンタイ美術館』(ダイヤモンド社)

関連記事

  1. 魚も肉も出る5500円のコース料理|ニセコヒルトンビレッジ 2016.07.29

  2. 湯引きハモを梅ソースで|京都市の京和食いち藤

  3. 温泉に入った後、LOHAS寛で食事|大阪市:湯元「花乃井」スーパーホテル大阪天然温泉

  4. 朝どれの巨大アスパラガスを格安で|2泊3日のニセコの旅

  5. 十日恵比須神社に参拝 | 福岡市博多区

  6. 雪のみくりが池と地獄谷散策|富山県立山室堂4月20日

  7. 甘くてとろける旬の生バフンウニ丼|北海道積丹町の漁師直営食堂 中村屋

  8. 道の駅「風の丘」で冷やしカレー麺を食べた後、SL銀河を追っかけじゃ|岩手県遠野市

  9. 純血種、今帰仁のアグー豚|居酒屋みつ子ばぁばの台所

  1. コバルトブルーの角島とホテル西長門リゾートを楽しむ1泊2日の旅

    2020.03.25

  2. 【厳冬の2月、道東2泊3日の旅】網走の流氷、カヌー釧路川源流下…

    2020.02.18

  3. 【特集】鯨料理専門店 福岡市のおおいし

    2019.06.30

  4. 【特集】トラディショナルイタリアンGUFO:福岡市

    2019.06.30

  5. 【特集】福岡市のイタリアン:キム翔

    2019.06.30

  6. 【韓国味噌鍋:博多】慶州鍋が名物のいずみ田祇園店 特集記事

    2019.06.22

  7. 【6月初旬】温泉のニセコ&ウニの積丹半島3泊4日

    2019.06.08

  8. 【ありそでない家族経営の居酒屋】福岡市の仙八

    2019.05.29

  9. 【昭和レトロ居酒屋】福岡市博多区のがったんごっとん

    2019.05.28

  10. 【イタリアン料理】感動の5000円フルコース|鹿児島県薩摩川内市の…

    2019.05.21

  1. 【長崎市内観光とグルメ】おでん専門店「桃若」へ|1泊2日:2019.…

    2019.01.23

  2. 【道東・道央の旅】くったり胡とサホロリゾート、帯広市の六花亭本…

    2019.01.27

  3. 【道東の旅】道東4日間のグルメと遊びのコース|北海道 2018.07.20…

    2019.01.23

  4. 【島根県:松江市の料理屋】やまいちで宍道湖七珍を食え

    2019.05.18

  5. 【特集:岩手県の遠野市を楽しむ旅】仙台空港から沿岸を北上しまし…

    2019.04.06

  6. 【特集:旭川市の田子兵衛】生ズワイガニ爪を始め美味いものを安く…

    2019.03.17

  7. 【秋田・青森のグルメと観光】北東北de仕事しながら | 4泊5日 20…

    2019.01.26

  8. 【特集:私の一番好きな鮨屋】山口県萩市の豊月

    2019.05.18

  9. 【特集記事】JAL国内線ファーストクラス機内食  記事の一覧

    2019.02.12

  10. 【北海道を東西へ2泊3日】旭川を拠点に東へ西へ、増毛町~紋別町

    2019.03.28

  1. 【特集】三大阿弥陀堂と阿弥陀如来

    2019.01.27

  2. 【特集】仏の世界の四階層╿如来・菩薩・明王・天

    2019.02.07

  3. 【特集】奇想の画家ってなんですか?

    2019.02.17

  4. 【特集】大塚国際美術館で見る美術史

    2019.01.27