《解説》色彩とその発想にシビれろ!╿5分でわかる「奇想の画家③」

こんにちは、はてはてマンボウです。今回はヘンてこな「奇想の画家」シリーズの続編だと聞いています。

《解説》若冲、蕭白、芦雪……奇想のメンバー勢ぞろい!╿「奇想の画家② 江戸時代」
↑↑「伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪を知りたい!」という方はこちらをクリックしてくれ~まあんぼう~

梓「さて、ここからは江戸時代から明治期の画家たちだよ」

マ「あ、連理梓さん。5分でわかるシリーズ、ちゃんと終わらせてくださいよう」

梓「大丈夫大丈夫、任せといて」

19世紀前半:陰影と色彩の美

狩野一信:ジャカジャカ音がなるような激しさを見よ!

梓「江戸時代も時代が下ると、徐々に西洋画の影響が光や陰影の表現に表れてくる。狩野一信(かのうかずのぶ)は、ご存じ狩野派から出てきているが、その絵画は強烈だ」

狩野一信『五百羅漢図(ごひゃくらかんず)』(増上寺、東京)

マ「はてはて! 色彩もさることながら、なんですかこの絵は! お腹から仏さまが!」

梓「この五百羅漢図は100幅からなる対策だけど、そこにはキテレツな図像があふれるように飛び出してくる。だけど、そのインパクトの奥にある緻密な技量も要注目だ」

鈴木其一:目をとらえて離さないその青

梓「尾形光琳に私淑(ししゅく)したのが、鈴木其一(すずききいつ)だ」

マ「シシュクってなんですか」

梓「直接仕えたり門人になったりしたわけではないけれど、個人的に思いをはせること。鈴木其一は情緒的というよりはむしろ理知的な構成の絵を描くんだけど、そこには現実離れした色彩感覚が現れる」

鈴木其一『夏秋渓流図屏風』(根津美術館、東京)

マ「うわあ! 金ぴかの背景に鮮やかな青の川が映えますねえ。一度見ると忘れられそうにないです」

梓「水流自体は伝統的な描き方なんだけど、一方で植物には写実的な雰囲気があったりもする不思議な絵だ」

鈴木其一『百鳥百獣図』(キャサリン&トーマス・エドソンコレクション)

マ「こっちは、西洋絵画の楽園みたいにいろんな動物大集合ですね」

梓「ここでもやっぱり、ビビッドな青や朱が目を引くよね」

歌川国芳:奇想の浮世絵師

梓「浮世絵師。でありながら、武者絵に加えて、西洋絵画の影響を受けた風景画家でもあるのが、歌川国芳(うたがわくによし)」

歌川国芳『相馬の古内裏』

梓「相馬の古内裏は、平将門の遺児・滝夜叉姫(たきやしゃひめ)が、骸骨を出現させるという戦闘シーン。そういえば、夢枕獏(ゆめまくらばく)の陰陽師シリーズにも出てきたね、滝夜叉姫」

マ「江戸時代は、妖怪を描いた絵画がはやっていたイメージもあります」

梓「江戸時代後期から、特に流行っていたんだ」

歌川国芳『国芳もやう正札附現金男 野晒悟助』

マ「なんて読むんですか」

梓「ふだつきげんきんおとこ のざらしごすけ」

マ「色彩も鮮やかで躍動感もありますし、骸骨がまた、いき、ですねえ」

梓「歌川国芳は猫好きの画家としてもよく知られている」

マ「はて、どうして急に猫の話が」

梓「よく見ると骸骨が猫になっている」

マ「はて! たしかに」

19世紀後半:明治の世へ

河鍋暁斎:無限のイメージとその技量

梓「河鍋暁斎(かわなべきょうさい)は狩野派の流れを汲んでいながら、そこに留まらないさまざまなイメージの絵画を描いた。7歳で歌川国芳に入門し、10歳で狩野派の門も叩いている」

マ「そんなに小さいときから絵を描いていたとは。優秀ねえ」

梓「自他ともに認める『画鬼』だったそうだ」

河鍋暁斎『地獄太夫と一休』(イスラエル・ゴールドマン・コレクション)

梓「地獄太夫(じごくだゆう)は河鍋暁斎が好んで描いた画題。一休さんでおなじみの一休宗純(いっきゅうそうじゅん)の弟子になったと言われる遊女だ」

マ「三味線を弾く骸骨の上で、一休さんが踊っていますねえ。レッツ・ダンシン!」

梓「地獄太夫が羽織っているのは地獄の炎のようにも見えるけど、よくよく見るとサンゴ礁に七福神があしらっているんだ。ニクいよね」

河鍋暁斎『三味線を弾く洋装の骸骨と、踊る妖怪』(イスラエル・ゴールドマン・コレクション)

マ「まぼ。こっちでも骸骨が三味線を」

梓「こういうさらっとした絵も描ける。とにかく、なんでも描ける才人が暁斎。描き方もイメージも無限に溢れてくる、そんな画家だ」

月岡芳年:浮世絵と西洋画のハイブリッド!

梓「歌川国芳の門人であったのが、月岡芳年(つきおかよしとし)」

マ「歌川国芳、再びですね。後世に与えた影響がよくわかります」

月岡芳年『月百姿』「きよみかた空にも関のあるならば 月をとゝめて三保の松原」

マ「ありゃ、信玄公」

梓「これは『月百姿(つきひゃくし)』という、月をテーマに百の絵画を描いた芳年のシリーズの1つ。錦絵と呼ばれた浮世絵の鮮やかな色彩に、伝統的な日本画には見られない西洋画の人物造形が入り混じる」

月岡芳年『義経記五条橋之図(ぎけいき ごじょうおおはしのず)』

マ「うわあ、すごい躍動感。だけど、『奇想の画家』として出てきたこれまでの画家の奔放さに比べると、なんだかきちっとしているというか、理論的な雰囲気があるというか」

梓「どことなく、見慣れた雰囲気があるよね」

マ「ああそうそう、そういう感じです」

梓「それは、我々が西洋画に普段から見慣れているからだ」

マ「ああ、たしかに、日本の絵画って感じではないですよね」

梓「月岡芳年はレオナルド・ダ・ヴィンチ以来の西洋の遠近法を学び取っていた。だけどその上で、やっぱりベースは浮世絵だよね」

マ「月岡芳年は、東西のハイブリッド画家だったんですねえ」

「奇想の画家」 ページ内リンク先

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・《解説》5分でわかる「奇想の画家① 桃山~江戸時代初期」
・《解説》若冲、蕭白、芦雪……奇想のメンバー勢ぞろい!╿「奇想の画家② 江戸時代」

≫筆者:連理梓

※「はてはてマンボウのブログ」は移転しました。

はてはてマンボウの 教養回遊記 (hatehatemanbou.com)

参考文献
〇佐久間恵(2012)「これから来る! 注目アーティスト 狩野一信」、山下裕二監修『ゼロからはじめる! 一夜漬け日本美術史』(美術出版社)
〇辻惟雄(1970)『奇想の系譜』(美術出版社)
〇美術検定実行委員会編(2008)『西洋・日本美術史の基本』(美術出版社)
〇山口晃(2012)『ヘンな日本美術史』(祥伝社)
〇山下裕二監修(2019)『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』(日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション)
〇湯原公浩編(2014)『別冊太陽 日本の心214 浮世絵図鑑 江戸文化の万華鏡』(平凡社)

 

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