こんにちは、はてはてマンボウです。前回までは、大塚国際美術館の絵を通して、バロックの西洋絵画の世界について教えてもらいました。今回は一つ時代が進んだロココについて教えてもらえるみたいですが、なぜか名古屋に呼ばれています、はて。
《解説》激しさと静けさがまじりあう╿絵画を語るとき我々の語ること④バロック
↑「バロックをもっと知りたい!」という方は、こちらの記事もチェックしてくれ~。まあんぼう~
梓「さあ、バロックの次はロココだ。今回やってきたのは、このヤマザキマザック美術館」
マ「あ、連理梓さん。ヤマザキマザック美術館とは。不思議な名前です、はてはて」
マ「うわあ、優雅な絵画が並んでいますねえ」
梓「ヤマザキマザック美術館は、工作機械メーカーのヤマザキマザックが運営している美術館。ロココから、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派と、18世紀から20世紀のフランス絵画が一望できる」
マ「へえ、立派な美術館なのねえ。しかし、ロココ。またまた変な名前の様式ですよう。この様式を一言で言うと……」
梓「おフランス!」
マ「おふらんす、はて」
梓「これまでの絵画の中心ってどこだったかな」
マ「うーん、イタリア、オランダ、ドイツあたりは出てきたような。あ、フランスは出てないです、はて」
梓「フランスがヨーロッパのなかで大きな力を持つにしたがい、新しい様式も生まれてきた、というわけだ。今回はヤマザキマザック美術館の絵画を中心に紹介するよ」
「ロココ」ってそもそもなに?
マ「ロココって、そもそもどういう意味なんですか」
梓「室内装飾に多用された貝殻状の装飾がロカイユと呼ばれたのに由来している。華やかな宮廷の家具の曲線美をイメージしてほしい」
マ「たしかに、おフランスの家具って、巻貝みたいにくるくるした装飾のイメージです」
梓「ロココの時代は18世紀、フランスはブルボン朝、ルイ15世の時代に始まった」
どうしておフランス?
マ「ロココは、どうしてフランスで始まったんですか」
梓「それは、17世紀の大きな戦争を通して、フランスが力をつけてきたからだ。特に18世紀はヨーロッパ最も力を持つ国の内の1つとなる」
マ「イタリアはどうなったんですか」
梓「イタリアには長らく統一政権が生まれず、なかなか影響力を発揮できないまま、他国の戦争の巻き添えとなるなかで国力を伸ばせなかった。バロックを境に、イタリアは美術の様式の最前線からフェイド・アウトしていく」
梓「さて、ロココがフランスを中心に広まったのは、ルイ15世の愛妾・ポンパドゥール夫人がサロンを主宰したことによるものが大きい」
マ「サロンってなんですか」
梓「芸術愛好家の集まりってところだね」
マ「それが、おフランスのきっかけでしたか、はてはて」
優雅で退廃的なロカイユ
梓「フランソワ・ブーシェはロココを代表する画家の1人だ。さて、1つ前の様式のバロックと比べて、感想はどうかな」
マ「バロックのときは明暗がはっきりしていましたけど、こっちの絵は明るくて、なんだかふわふわしているような」
梓「そのとおり。明るい色彩と、のびやかなデッサンが軽やかさを生む」
マ「ドラマチックさを意識したバロックとはまた違った雰囲気ですねえ」
梓「バロックが豪華なら、ロココは軽やか、といったところかな」
マ「ああ、これはよく見る絵ですねえ。これまでの流れを見ると、ザ・ロココって感じです」
梓「優雅な貴族趣味のロココは、退廃的な趣を示すときもある。フラゴナールの『ぶらんこ』は、地面に転がってスカートを覗いたときの瞬間を表してくれと頼まれて描かれた絵なんだ」
マ「はて。そりゃあ、受けるほうも受けるほうなんじゃ」
イギリスにも絵画の芽生え
梓「フランスに加えてイギリスも、これまであまり画家は出てこなかったが、ロココあたりからイギリス出身の画家が現れ始める」
梓「夢想的なフランスのロココ美術に比べて、同時代のイギリスは、軽やかなタッチを見せながらも現実的で落ち着いている雰囲気があるね」
この記事のまとめ
梓「今回は次の3つのことを覚えておくといい」
①ロココは、豊かなフランスの宮廷文化を背景に生まれた美術。
②フランスの宮廷文化がサロンを生み、サロンがフランスの美術を育てた。
③バロックは豪華、ロココは軽やか」
マ「それならマンボウでも覚えられます、はってはて♪」
《ページ内リンク》
☆大塚国際美術館 概説「丸1日楽しめる世界の絵画╿徳島県 鳴門市の大塚国際美術館」
☆美術史 解説
・古代
・中世
・ルネサンス
・バロック
・ロココ
・新古典主義とロマン主義
・写実主義
・印象派
・象徴主義
☆ヤマザキマザック美術館 ≫公式HP
〒461-0004 愛知県名古屋市葵1丁目19−30
≫筆者:連理梓
≫訪問日:2017.03.29
※「はてはてマンボウのブログ」は移転しました。
はてはてマンボウの 教養回遊記 (hatehatemanbou.com)
参考文献
〇大塚国際美術館・NHK文化センター・有光出版株式会社(1998)『西洋絵画300選』(有光出版)
〇城一夫(2012)『常識として知っておきたい「美」の概念60』(パイ インターナショナル)
〇早坂優子(2006)『鑑賞のための西洋美術史入門』(視覚デザイン研究所)
〇早坂優子(1996)『巨匠に教わる絵画の見かた』(視覚デザイン研究所)
〇ヤマザキマザック美術館準備室編(2010)『ヤマザキマザック美術館「作品選」』(ヤマザキマザック美術館)