【 東京 】《世界遺産》”無限成長美術館”と松方コレクション╿上野 国立西洋美術館

こんにちは、はてはてマンボウです。今日は東京の上野に世界遺産があると聞いて、上野公園へやってきています。

梓「『ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献』のことだね」

マ「あ、連理梓さん。えっと、る、るるる」

梓「ル・コルビュジエ。旗の下にもそう書いてある」

マ「はて、これで、その、る、こるこる」

梓「ル・コルビュジエはフランスの有名な建築家だ。さて、今回はそのコルビュジエが作った国立西洋美術館を回っていくよ」

国立西洋美術館は、ル・コルビュジエの世界遺産群の1つ!

梓「フランス政府が中心となって、ル・コルビュジエの建築群を世界遺産に登録しようとしていた。その流れに協力する形で、国立西洋美術館も2016年に合同で世界遺産に登録された

マ「かなり新しい世界遺産なんですねえ」

梓「さて、エントランスに入ってみよう。国立西洋美術館には、この印象的な柱が外に中にいくつも連なっている」

マ「直線的で不思議な幾何学模様ですねえ。コンクリートは剥きだしで冷たいようなんですが、でも不思議と開放的な雰囲気もあります」

梓「木材で作った型枠にコンクリートを流しこんで作られた柱だから、表面にできている木目がやさしい印象を与えてくるよね」

梓「国立西洋美術館にはたくさんの作品が常設されているけれど、それらを一筆書きで見て回れるようになっている」

マ「歩いてまわるのが、ちょっとした冒険みたいで楽しいですねえ」

梓「コルビュジエはこれを『建築的プロムナード』と呼んだ」

マ「プロムナード、はて」

梓「散策路という意味だ」

梓「コルビュジエの建築には『無限成長美術館』というコンセプトがある」

マ「はて、なんだか仰々しいお名前」

梓「一筆書きでらせんに巡る美術館だが、収蔵品が増えたら、らせんの部分を外側に増やすことで、美術館そのものを無限に成長させることができる、という発想だ」

マ「ずいぶんとスケールの大きな人ねえ。世界遺産に選ばれたのもうなずけます」

壮麗な西洋美術が贅沢に常設展示! 松方コレクションの数々

マ「しかし、かなりの数の西洋美術が展示されていますねえ。こんなにたくさんの美術品が、しかも写真可で常設展示されているところなんて、なかなかないですよ」

梓「これらの展示品は松方コレクションと呼ばれている」

マ「はて、松方」

梓「日清戦争の前後に二度総理大臣を務めた松方正義。その息子で、川崎重工の前身である川崎造船所を作った松方幸次郎の集めた西洋美術の数々が、松方コレクションだ」

梓「加えて、美術館の内外に展示されている数々の彫刻もまた、松方コレクションのうちの一部だ」

マ「『考える人』はマンボウも知ってますよ~おらおら~」

梓「考える人は、『神曲』を書いたダンテを彫刻にした作品だ。実は、考える人』とは別の作品から独立した存在でもある」

マ「まぼ」

梓「同じくロダンによる『地獄の門』の上のほうを見てごらん」

マ「はて! 考えてますねえ」

西洋美術史をダイジェストで体験!

梓「さて、豊かな作品の数々が並ぶ松方コレクションは西洋美術史の流れを追うのにぴったりなんだ。過去の記事で紹介できなかった作者を中心に西洋美術史と絵画を見ていこう」

マ「西洋美術史のおさらいの始まりですねえ」

《まとめ》大塚国際美術館で見る美術史
↑「西洋美術の流れをもっと知りたい!」という方はこちらをチェックしてくれ~まあんぼう~

中世

バルナ・ダ・シエナ『聖ミカエルと龍』

梓「中世絵画だと、まだ表現は固いよね」

マ「ずっと人間らしさが出てくるのは、ルネサンスからでしたねえ」

ルネサンス

ジョルジョ・ヴァザーリ『ゲッセマネの祈り』

梓「ヴァザーリはルネサンス最盛期の画家。ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロのフィレンツェの三巨匠と同時代人だ」

マ「ルネサンスになると、絵画が一気に人間らしくなりますねえ」

梓「ヴァザーリは『芸術家列伝』の作者としても有名だ。過去の芸術家たちについて1人ひとり論評を行っているんだが、ヴァザーリは熱心なミケランジェロびいきだったものだから、著作の3分の1はミケランジェロへの賞賛が延々と連なっている」

マ「そ、それはひいきが過ぎますねえ」

梓「『神のごときミケランジェロ』というフレーズもヴァザーリによるものだ」

ルーカス・クラーナハ(父)『ゲッセマネの祈り』

梓「ドイツのクラーナハは北方ルネサンスを代表する画家とされる」

マ「奥で天使に向きあっているのはキリストでしょうか。しかし、手前の人たちはなんで眠りこけているのかしらねえ、はて」

梓「聖書がわかると西洋美術がさらに10倍おもしろくなる……けど、その話はまた別の機会に」

ティントレット『ダヴィデを装った若い男の肖像』

梓「ティントレットは、ティツィアーノに続くヴェネツィア派の画家だ。マンボウちゃんは、ヴェネツィア派を覚えているかな」

マ「は、はてはて。ティツィアーノの名前はなんとなく頭に残っているのですが」

梓「ルネサンスの中心地はフィレンツェだったが、北方ルネサンスやヴェネツィア派の絵画も有名だったよね」

マ「はて、そうだったような」

梓「ティントレットは、ティツィアーノの色彩とミケランジェロの様式を受けついで、マニエリスムへの道を開く画家のうちの1人だ」

マ「あ、マンネリズムの始まりですね、それはマンボウも覚えてますよ、おらおら~」

バロック

カルロ・ドルチ『悲しみの聖母』

梓「宗教改革に対抗した対抗宗教改革のなか、より明暗のはっきりとした表現が好まれたのがバロックだったね」

マ「バロックの時代って、なんとなくマリアさまがいっぱい描かれているイメージがあります」

梓「カトリックでは聖母崇拝がさかんだったからね。一方、プロテスタントは聖人崇拝をしない。基本的には拝む対象はイエスのみ」

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール『聖トマス』

梓「ラ・トゥールもまた、バロックの画家として有名だ。ドラマティックで激しい表現はあまりないが、暗闇のなかにはっきりと浮かびあがる人物画を数多く手がけた画家として有名だ」

ロココ

マリー=ガブリエル・カペ『自画像』

マ「うわあ、なんだか優雅な雰囲気が漂ってきたわねえ。自信家の香りも、むんむんします」

梓「ロココの軽くて優雅な雰囲気が伝わってくるね」

写実主義

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー『ナポリの浜の思い出』

梓「カミーユ・コローは、自然主義の一派であるバルビゾン派の1人だ」

マ「なんでもない農民の風景が絵画のテーマになる時代となりましたねえ」

印象派

カミーユ・ピサロ『立ち話』

梓「モネやドガをはじめとした印象派のなかで、ピサロもまた有名な画家のうちの1人だ」

マ「なんだかスナップショットみたいな要素もある絵画ねえ」

梓「写実主義からのつながりが感じられるね」

マ「うわ、なんですかこれは。急に現代絵画のコーナーに」

梓「焦らないで、マンボウちゃん。ゆっくり離れて見てみなよ」

マ「はて、モネの睡蓮でしたか。すっかりはてついてしまいまして」

梓「印象派を見るときは遠くから離れて見るのがいいんだよ」

象徴主義

ロセッティ『愛の杯』

梓「ロセッティの絵は、一目ですぐわかるね。イギリスのムーヴメント、ラファエロ前派だ」

マ「なにがラファエロ以前で、なにがそうでないかは、絵を見ていてもあまりわからないわねえ」

梓「テーマは聖書やギリシャ・ローマ神話にとどまらず、中世の小説なんかに題材を得た絵画を描いている」

光を見るとおもしろい!

マ「ここまでいろいろな絵画を紹介してもらいましたが、絵画を見る上で、なにかポイントになるようなことを教えていただけますか」

梓「うーん、いろいろな見方を楽しめるわけだが、それじゃあ今回は『光の方向』をテーマとしよう」

ヨース・ファン・クレーヴ『三重祭壇画』

マ「はて、光。この絵に、なにか特別な光の表現があるのでしょうか」

梓「イエスの頭上から神が見えるね。宗教画のルールとして、神やイエスをもっとも明るく描こうという考え方がある。神と光輪は真上から出ているから、顔に影を落とすように、本来は光は奥から手前へ光が指すはず」

梓「だが、身体の側面に影が出ているのがわかるかな」

マ「左斜め上から吹いている風と合わせるみたいですねえ」

カルロ・ドルチ『悲しみの聖母』

梓「再び、カルロ・ドルチ。顔に影がさす。ただし、正面からも光は当たっているのがわかる」
マ「あ、ほんとだ」
梓「光源をいくつも用意して描いている絵というのはよく見られる。少し意識して見てみると、また違った見方ができるよ」

基本情報のまとめ

☆国立西洋美術館 ≫公式HP

〒110-0007 東京都台東区上野公園7−7

≫GoogleMapで開く

≫筆者:連理梓
≫来訪日:2018.07.11

参考文献
〇『Pen+【完全保存版】ニッポンの世界遺産。』(CCCメディアハウス)(2017-12-29)
〇国立西洋美術館学芸課編(1989)『国立西洋美術館名作選』(国立西洋美術館)

 

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